【2月6日 AFP】トルコを走る寝台列車「ツーリスティックイースタンエクスプレス(Touristic Eastern Express)」に乗り込むと、華やかな花や白いテーブルクロス、魅惑的なボトルが視界に飛び込んでくる。風光明媚(めいび)な眺めを堪能する旅の始まりだ。

 地元で「Turistik Dogu Ekspresi」と呼ばれている寝台列車は、誰もがうらやむ体験を提供する。

 首都アンカラから、アルメニアやジョージア国境近くの古都カルス(Kars)まで運行されている9両の列車は、1300キロの道のりを、32時間かけて移動する。

 新型コロナウイルスの大流行で、寝台列車は開通から1年足らずで運行が休止されたが、規制緩和により再開。比較的高価な乗車券も販売後すぐに完売する。

 トルコ国鉄(TCDD)のハサン・ペズク(Hasan Pezuk)取締役会長はAFPに、「アンカラとカルスを結ぶ路線は紀行作家の間で、世界で最も美しい鉄道路線4本の一つとみなされている」と語った。

 寝台列車は、12月30日から3月31日まで週2回運行する。ルートの大半は雪景色なことから、エンジニアのファティヒ・ヤルシン(Fatih Yalcin)氏は、シベリア鉄道(Trans-Siberian Railway)のミニチュア版だと話した。

 食堂車では、ナイトクラブを思わせるミラーボールの下で、夜通し美食を楽しめる。

 ある女性は、マルマラ海(Sea of Marmara)沿岸のブルサ(Bursa)から、引退生活を送る友人40人で乗り込んだ。夕焼けで空が色鮮やかに染まる中、この食堂車で茶会を楽しんでいると話す。「私たちは夫や父親から逃げてきた」と言うと、女性たちは一斉に笑った。

 乗客の年齢や風情はさまざまで、静かにしている人も、はしゃいでいる人もいる。まるでトルコ社会の縮図のようだ。(c)AFP/Anne CHAON