冬季五輪の未来、気候変動で暗雲 国際研究
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【2月1日 AFP】今後の冬季五輪は、気候変動で開催が危ぶまれる──4日に開幕する北京冬季五輪を前に、警鐘を鳴らす国際研究が発表された。冬季大会に適する会場が世界中で減っているという。
同研究によると今回の大会は、人工雪にほぼ全面的に頼る初の冬季五輪となる。
研究報告書は「Slippery Slopes: How Climate Change is Threatening the Winter Olympics(滑りやすいスロープ〈危険な道のり〉:気候変動はいかに冬季五輪を脅かしているか)」と題されている。作成したのは、英ラフバラ大学(Loughborough University)、欧米のスポーツ学者から成る「スポーツエコロジーグループ(Sport Ecology Group)」、およびスノースポーツ界の国際環境団体「Protect Our Winters(冬を守ろう)」の3団体だ。
同報告書によると、北京五輪大会のスキー会場を設営するために、100台以上のファン式造雪機と300基の人工降雪機がフル稼働している。
人工雪に頼るとエネルギーと水を大量消費し、また多くの場合、雪を解けにくくするために化学物質を使用することになる。その結果、雪質が予測できないと危惧する声が多くの選手から上がっている。
「リスクは明白だ──人間が引き起こした温暖化が、ウインタースポーツの長期的未来を脅かしている」と報告書は指摘している。「冬季五輪に気候が適した開催地の数も減っている」
さらに今年の冬季五輪は、「スノースポーツの未来や、自然環境を人工的につくりだす限界についての論争も巻き起こすはずだ。その先には、滑りやすいスロープ(危険な道のり)が待ち受けている」と警告した。
1924年、フランス・シャモニー(Chamonix)での第1回大会からこれまでに冬季五輪が開催された21都市のうち、大会実施に必要な「気候適性」と自然降雪量を備えた開催地は、2050年までに10都市に減ると科学者は推定している。
シャモニーは現在、同じフランスやノルウェー、オーストリアの過去の開催地と並んで「高リスク」と評価されている。また、カナダのバンクーバー(Vancouver)やロシアのソチ(Sochi)、米カリフォルニア州のスコーバレー(Squaw Valley)は「万全とは言えない」とされている。
2002年のソルトレークシティー五輪(米ユタ州)に出場した英国のフリースタイルスキーヤー、ローラ・ドナルドソン(Laura Donaldson)さんは報告書の中で、アスリートへの危険について警告している。
「フリースタイルのスーパーパイプを、雪が少ない季節に造雪機を使って設置すると、パイプの側壁もボトム(底面)部分も凍ってかちかちになります」と語る。「アスリートにとっては危険です。死者も出ています」
「スノースポーツのこれまでの30年は良い思い出です」と語る。「でも、これからの30年はどうなってしまうのでしょう。心配でなりません」 (c)AFP