■利用者の42%が子ども

 コルチェスター・フードバンクの責任者、マイク・ベケット(Mike Beckett)氏によれば、2020年にフードバンクを利用した人の42%が子どもだった。「フードバンクを訪れる決心がつくまで、車の中で20分も1時間もためらったと話す人もいる」とベケット氏。「フードバンクを利用する必要に迫られるなんて思ってもみなかった人たちだ。利用したくなくても、子どものためには選択の余地はない」

 貧困撲滅を掲げる慈善団体ジョセフ・ローントゥリー財団(Joseph Rowntree Foundation)は、英国の貧困に関する2022年版の報告書で「社会保障制度の設計の仕方が食料不安の増大に直結し、フードバンク利用が増加する原因となっている」と指摘する。

 英国では4月に光熱費の値上げが予定されており、家計負担はさらに重くなる見通しだ。新型コロナウイルス対策費が膨らむ中、さらなる増税も見込まれている。その結果、総所得の10%以上を光熱費に費やす「エネルギー貧困」に陥る世帯が全国で増えることになるとみられる。

 フードバンクを初めて利用したハイディさんは訴える。「だれもが(フードバンクに)寄付すべきだ。いつ自分が利用する立場になるか分からないのだから。まさに私のように」 (c)AFP/Charles ONIANS