【2月2日 AFP】自国開催の2008年夏季五輪で最多金メダル獲得国となった中国だが、ウインタースポーツでは産業をほぼゼロから構築しようとしている段階であり、4日開幕の北京冬季五輪でかかる期待は低い。

 中国が冬季五輪に初参加したのは1980年のレークプラシッド(Lake Placid)大会でのことで、前回2018年平昌冬季五輪の金メダルはショートトラックでの1個に終わるなど、ほとんど輝きを放てずにいる。

 中国では歴史的にウインタースポーツの人気が低く、莫大(ばくだい)な費用がかかる上にインフラ不足もあって、アスリートの絶対数も少なかった。

 それでも、政府が主導して雪上や氷上のスポーツの普及を後押ししたり、中流階級が急増したりしたことで、今回の五輪では一定程度の結果が見込まれる。また、アスリートは自国開催の五輪で実力以上のパフォーマンスを発揮する傾向もある。

 ノウハウ獲得のため外国人コーチも招聘(しょうへい)される中、米国の大手データ会社グレースノート(Gracenote)は、中国が今大会で6個の金メダルを獲得し、「冬季五輪史上最高」の結果を手にすると予想している。

 中国は全109種目への出場を目標に掲げ、これは平昌大会における参加種目数のおよそ2倍に相当するが、国営メディアはそのうち3分の1は「経験のない」種目だと報じている。

 ウインタースポーツの競技人口増加を目指し、中国は嵩山少林寺(Shaolin Temple)の武術学校でスカウトをするなど、さまざまな手を尽くしてきた。今回の五輪に出場する選手が生まれることを期待し、2018年には全く競技経験のない10代の元体操選手や短距離陸上選手を、ノルウェーで行われた短期合宿に派遣した。

 さらに中国は、米カリフォルニア州生まれで、今大会の顔としても期待されるフリースタイルスキー女子の谷愛凌(Eileen Gu)や、フィギュアスケート女子の朱易(Beverly Zhu、イ・ジュウ)ら中国籍を取得した選手も頼りにしている。

 また将来を見据え、2025年までにウインタースポーツのスクール5000校の開校を目指しているほか、すでにウインドトンネル(風洞)や仮想現実(VR)設備を備えた選手向けの巨大練習施設を立ち上げている。

 冬季五輪で中国は計13個の金メダルを獲得しているが、うち10個はショートトラックでのものだ。今大会では平昌の男子500メートルで優勝した武大靖(Wu Dajing)が連覇に挑むほか、リレーでもメダルが期待されている。

 また、フィギュアスケート・ペアの隋文静(Sui Wenjing)/韓聰(Han Cong)組は平昌の銀以上を目指しており、18歳の谷はフリースタイルスキーでの金メダル獲得を予想する声が多い。

 しかし選手は国のトップからのプレッシャーにさらされており、習近平(Xi Jinping)国家主席は「勇敢に奮闘し、成功に向けて努力」するよう迫っている。(c)AFP/Jing Xuan TENG