■入国禁止は「現実的ではない」

 日本の大学関係者や財界人は、厳しい入国制限によって他国に後れを取ると危機感を強めている。

 在日の欧州ビジネス協会(EBC)のミハエル・ムロチェク(Michael Mroczek)会頭は、日本企業は外国人労働者を受け入れることができず、専門技能の面で遅れが出てきていると指摘した。

 国内での感染がすでに広がっているのに、入国制限は「いささか理不尽」だとして、「外国人差別ではないかとさえ思える」とAFPに語った。

 新型コロナによる日本の累計死者数は約1万8700人。完全なロックダウン(都市封鎖)を実施せず、隣国・中国のような厳格な「ゼロコロナ」政策も導入してこなかったことを考えると、比較的少ない。

 外務省の担当者は、厳しい水際対策を擁護。変異株「オミクロン株」の感染者数が他国よりかなり少ないことも説明がつくと話した。

 だが、財界は不満を募らせている。経団連(Keidanren)の十倉雅和(Masakazu Tokura)会長は24日、厳格な入国規制を「鎖国」に例え、現行の措置は「現実的ではない」として岸田首相に見直しを求めた。

 先が見えないため、多くの留学生は韓国など他国に目を向け始めている。

 獣医学博士課程の1年生、ハナさん(29)はイラン在住。日本の大学の授業をリモートで受けているが、実験室でしか行えない研究には取り組むことができない。そのため、日本に来る最終期限を、やむを得ず4月に設定した。

 期限が過ぎたら、「他の国に行くことを考えます」と言う。「たぶんカナダか米国か」

「入国できなければ、私たちのような留学生のほとんどは、日本に見切りをつけるでしょう」と話した。(c)AFP/Etienne Balmer and Katie Forster