【1月26日 AFP】中国のインターネット上で、妻を殴る男性を撮影した動画と、それに対する警察の対応が、ドメスティックバイオレンス(DV)加害者に対する処罰をめぐる議論を再燃させている。

 中国のSNS上では先週、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)下にあった北西部・西安(Xi'an)で、男性が妻を暴行する様子を撮影した家庭用防犯カメラの映像が拡散。加えて、警察の対応がさらに大きな怒りを買い、関連するハッシュタグは360万回以上閲覧された。

 西安警察は先週末、男性の身柄を5日間拘束した後、刑事責任を問わずに釈放する方針を示した。2016年に成立した中国のDV関連法では、加害者への罰則として20日以下の拘留が定められており、より厳しい罰則は、相手に重傷を負わせ、犯罪の意図が証明された場合にのみ科される。警察は、妻が「軟部組織を損傷した」としているが、けがの詳細は公表していない。

 男性は動画で、子どもがそばで見ている中、妻を繰り返し殴っていた。動画は当初、妻の親戚や同僚がインターネット上に投稿。その後、国営メディアにも取り上げられた。

 警察は、家事をめぐるけんかが妻の「過激な言動」によりエスカレートしたとし、警察が妻を「批判し、教育した」と発表。この警察の説明に、インターネット上では即座に反発が広がった。

 中国版ツイッター(Twitter)の微博(ウェイボー、Weibo)には、「DV加害者がたった5日間の留置で釈放されているというのに、それでも中国人女性が結婚も出産もしたがらない理由が分からないのか」といったコメントが投稿された。

 中国ではDVが依然として横行し、通報されないことも多く、特に農村部ではそうした傾向が強い。中華全国婦女連合会(All-China Women's Federation)が2013年に行った調査では、既婚女性の約4人に1人がDVを経験したと回答。昨年10月には、SNSでライブ配信中だった元妻を殺害したとされる男が死刑判決を受け、国内に衝撃が広がった。(c)AFP