【1月25日 AFP】世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は24日、新型コロナウイルスの緊急事態について、今年中に終わりにできる可能性があるとの見解を示した。一方で、先週には同ウイルスにより、12秒に1人のペースで死者が出ていたと明らかにした。

 テドロス事務局長はWHO執行理事会で、「われわれは新型コロナウイルス感染症の世界的な緊急事態を終わりにすることができる、今年できる可能性がある」と述べた。そのためには各国がワクチンや治療薬への公平なアクセスを確保し、ウイルスとその新たな変異株を追跡し、規制の適用を維持するよう、さらに努力していく必要があると注意を促した。

 WHOは以前から、低所得国にもワクチンが行き渡るよう求めるとともに、今年の半ばまでに少なくとも人口の70%がワクチン接種を完了するよう、すべての国に呼び掛けてきた。

 だが、昨年末までに人口の40%にワクチンを接種するという目標を、WHO加盟194か国のうち半数が達成できておらず、特にアフリカでは85%の人々がまだ一度もワクチンを接種していない。テドロス氏は、「この格差を埋めない限り、パンデミック(世界的な大流行)の緊急段階を終わりにすることはできない」と指摘した。

 同氏はまた「先週は平均で3秒ごとに100件の新規感染が報告された」とし、12秒ごとに新型コロナウイルスによる死者が出ていると説明した。

 変異株「オミクロン株」は、先に確認された変異株に比べると重症化率は低いとみられており、テドロス氏も「感染者数の爆発的な増加は、死者数の急増にはつながっていない」と語った。

 その上で、世界は新型コロナウイルスと共存することを学ぶ必要があると述べた。

「急性呼吸器疾患に対する持続的かつ統合的な戦略を通じて対応していく方法を、われわれは学ぶ必要がある」と述べたテドロス氏は、「オミクロン株が最後の変異株になる、あるいはこれで闘いは終わると決め付けるのは危険だ」と強調。「感染力がより強く致死性のより高い変異株(出現)の可能性は依然として極めて高い」と警告した。(c)AFP