【1月30日 AFP】英イングランド北部で農業を営むロバート・トムリンソン(Robert Tomlinson)さん(41)は、ろうそくの明かりを頼りに、暗い小屋の中でルバーブの茎を一本一本収穫していく。

 トムリンソンさんの家は代々、ヨークシャー(Yorkshire)地方リーズ(Leeds)近郊のプジー(Pudsey)でルバーブの栽培を続けており、その栽培方法は約100年にわたって受け継がれてきたものだ。4代目のロバートさんも、近年のルバーブ人気の復活で収益を上げている。

 秋になると、ピンクの茎のルバーブ数百本が畑から屋内へと移される。気温約14度に保たれたほぼ真っ暗な環境で育ち、冬に収穫される。

 太陽の強い光を受けないために、ルバーブは葉緑素を作ることができず、糖分が葉ではなく茎で生成される。「そのため夏に屋外で栽培されるルバーブよりも、ずっと柔らかく甘みの増した茎が収穫できるのです」とトムリンソンさんは説明した。

 トムリンソンさんの曽祖父がアジア地域およびロシア原産のルバーブを栽培し始めたのは1880年代後半。その酸味の強い味は1960年代まで英国で人気を集めていた。

 だがその後、ルバーブの人気は衰え、多くの農家が栽培をやめた。トムリンソンさんによると、最盛時には200軒以上あったヨークシャー地方のルバーブ農家も、今は10軒にまで減ってしまったという。

 だがロンドンの高級レストランでは近年、レシピにルバーブが使われるようになり、再び注目されている。暗闇で栽培されたルバーブは、食べ物の他にも、フレーバーソーダやジン、スパークリングワインなどの飲み物にも用いられる。

 トムリンソンさんの農場には、仏パリや独ベルリン、スイスのチューリヒ、米ニューヨークなど、国外からも注文がある。

「私たちの栽培方法は昔とほぼ変わりません。違うやり方などないのです」と言うトムリンソンさん。

 使える機械などないと話し、「これからも、ろうそくの明かりをつけて手で収穫する」と続けた。(c)AFP/Pauline FROISSART