【1月26日 Xinhua News】2億年前に発生した生物の大量絶滅により、地球上の全生物の半分以上が姿を消した。進化史におけるこの「巨大な災禍」はなぜ起きたのか。中国地質大学(武漢)と中国科学院南京地質古生物研究所が主導する国際チームがこのほど、火山噴火が当時の環境の激変と種の絶滅の主な要因になったという有力な証拠を発見した。

 2億年前の三畳紀からジュラ紀にかけての大量絶滅は、地球の歴史上5回あった生物大量絶滅の一つとされる。その原因については科学者が数十年もの間、さまざまに推測し、火山噴火が重要な引き金になったと考えられてきたが、噴火の影響の大きさを確定するには至らなかった。

 研究チームは今回、この時期の異なる二つの緯度の地層に含まれる炭素同位体や水銀、粘土鉱物などを調査した。その結果、これらの地層では水銀含有量の著しい増加や炭素同位体比の変動が起こり、風化作用を示す粘土鉱物の変化も確認された。火山活動は地質学の歴史上、最も重要な水銀の発生源であるため、この結果は、火山噴火が広範囲に及んだだけでなく、一連の劇的な気候と生態系の変化をもたらしたことを裏付けている。

 科学者はこれまでの地質学研究と組み合わせ、2億年前の大量絶滅のシナリオを大まかに再現した。当時、陸上にあった「巨大火山」が60万年近く噴火を続け、パンゲア大陸の北米部分に巨大なマグマだまりが形成された。火山から大量の二酸化炭素とメタンガスが大気中に放出され、二酸化炭素の濃度は現在の約10倍になった。増え続ける温室効果ガスが温暖化や海洋酸素の欠乏、海洋酸性化を引き起こし、大陸の風化作用を強化した。このプロセスが約200万年続き、多くの生物は環境の激変に適応できず、最終的に地球上から姿を消した。

 論文筆頭著者である中国地質大学(武漢)の沈俊(Shen Jun)研究員は「しかし、この大量絶滅は他の生物が繁栄する余地ももたらした。その後間もなく恐竜が出現し、彼らが1億年以上にわたり君臨する時代が始まる」と語った。

 研究成果はこのほど、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News