【1月21日 AFP】オーストラリアで21日、最先端の液体水素運搬船の積み込み準備が整った。豪政府が「世界初」の液体水素技術の実証試験とうたう事業の一環で、同船は近く日本に向けて出港する。

 専用船「すいそ ふろんてぃあ(Suiso Frontier)」は、メルボルン近郊の港で超低温の液体水素を積み込む。液体水素は将来的に、液化天然ガス(LNG)に並ぶ燃料になることが期待されている。

 同船は、日本向けに安価かつ十分な量の燃料を生産するための日豪共同プロジェクト「水素エネルギーサプライチェーン(HESC)」の一環で運航される。約1週間後に、神戸に向けて出港する予定。

 アンガス・テイラー(Angus Taylor)豪エネルギー相は「きょうは歴史的な日。世界のエネルギーの未来を形づくる産業の幕開けだ」と述べた。

 水素は燃焼させても二酸化炭素(CO2)を排出しない。そのため、化石燃料のクリーンな代替になり得るとして注目されている。

 水などの再生可能な原料からもつくることができるが、豪州では褐炭から製造されており、クリーン度は大幅に低下する。しかし豪州は、水素抽出時に排出される炭素を回収することで、環境意識の高い投資家からも支持を得たい考え。

「親石炭」の豪政府は、この新産業を全面的に支援する一方で、国内の化石燃料の終わりではないと強調し、業界の不安緩和に努めている。(c)AFP