【1月21日 AFP】ローマ・カトリック教会の前教皇ベネディクト16世(Benedict XVI、94)が、1980年代に独ミュンヘン(Munich)で児童性的虐待を告発された聖職者4人を止めるための対応を故意に怠ったとする独立調査報告書が20日、発表された。前教皇の名声を大きく損なう可能性がある。

 調査は、教会の依頼により、法律事務所ベストファール・シュピルカー・バストル(WSW)が実施。同事務所によると、前教皇は自身の責任を全面的に否定しているが、調査チームは前教皇の説明には信ぴょう性がないと判断した。

 前教皇が対応を怠ったとされる事例のうち2件では、複数の虐待行為が立証されていたにもかかわらず、加害者は聖職者としての務めを続けることが許されていた。前教皇には、被害者への関心が「見受けられなかった」という。

 バチカン(教皇庁)のマッテオ・ブルーニ(Matteo Bruni)広報局長は、報告書の内容を精査する必要があると強調しつつも「聖職者による未成年者への虐待に対する恥と反省の念」を改めて表明した。

 ベネディクト16世は、1977年から82年までミュンヘンとフライジング(Freising)の大司教を務めた。2013年にローマ教皇を退位。存命中の教皇が退位するのは約600年ぶりだった。現在はバチカン市国の旧修道院で隠居生活を送っている。(c)AFP/Ralf ISERMANN with Femke COLBORNE in Berlin