【1月23日 AFP】戦争や内戦が長年続いたイラクに今、欧州の考古学者らが熱い思いを抱いて舞い戻っている。

「こっちに来て見てくれ!」。フランスの研究者が喜々として叫んだ。イラク南部ラルサ(Larsa)の砂漠で行われている発掘調査で最近、くさび形文字で記された4000年前の碑文が見つかった時のことだ。碑文は紀元前19世紀に焼かれたれんがに、シュメール語で刻まれていた。

「こんな碑文を、そのままの場所で見つけるなんて感動的です」と語るのは、チームを率いるドミニク・シャルパン(Dominique Charpin)氏。仏国立高等教育機関コレージュ・ド・フランス(College de France)の教授で、メソポタミア文明の専門家だ。

 シャルパン氏の近くでは、ロープが張られたエリアの中で欧州とイラクの考古学者数十人が発掘作業を続けている。れんがに付いた土を払いのけ、ラルサの運河に架かっていた橋の橋脚とおぼしき遺構を掃除していた。

 ラルサは紀元前2000年紀の初頭、古代メソポタミア(Mesopotamia)におけるバビロン(Babylon)の前の主要都市だった。

 仏国立科学研究センター(CNRS)の研究員で、仏イラク合同発掘グループの主任を務めるレジス・バレ(Regis Vallet)氏によると「ラルサはイラク最大級の遺跡」で、面積は200へクタールを超えている。

 20人編成のグループは「大発見」をしたとバレ氏。この遺跡には、ある統治者の住居も含まれていることが、くさび形文字の碑文から分かった。碑文が刻まれた約60枚の石板は、バグダッドの国立博物館に移された。