【1月20日 AFP】世界の富豪102人が19日、「今こそ私たち富裕層に課税を」と、政財界のリーダーに富裕税の導入を呼び掛ける異例の書簡を公表した。

 書簡は、世界経済フォーラム(WEF)が主催するオンライン会議「ダボス・アジェンダ(Davos Agenda)」に合わせて、「パトリオティック・ミリオネアズ(Patriotic Millionaires)」や国際NGOオックスファム・インターナショナル(Oxfam International)などによって公表された。

 署名したのは、米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニー(Walt Disney)共同創業者の孫アビゲイル・ディズニー(Abigail Disney)氏ら米、カナダ、独、英、デンマーク、ノルウェー、豪、オランダ、イランの富豪。

 102人は現行の課税制度は不公平で「富める者がより豊かになるよう意図的に設計されている」と批判した上で、「世界のすべての国は、富裕層に適正な税負担を求めなければならない」「今こそ私たち富裕層に課税を」と訴えた。

「パンデミックのこの2年間、世界がとてつもない苦しみを味わう一方、われわれの富は増加した。しかし、適正な税を負担したと心から言える者はほとんどいないと言えるだろう」

 パトリオティック・ミリオネアズなどが実施した調査によると、資産500万ドル(約5億7000万円)以上で2%、5000万ドル(約57億円)以上で3%、10億ドル(約1140億円)以上で5%の富裕税を導入すれば、毎年2兆5200億ドル(約288兆円)が集まる見込み。全人類に新型コロナウイルスワクチンを提供し、23億人を貧困から脱却させるのに十分な額だという。

 オックスファムは17日、世界の富豪上位10人が、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の2年間で総資産を2倍以上の1兆5000億ドル(約172兆円)に増やす一方、貧困層は増加し格差が拡大したとする報告書を発表した。(c)AFP