【1月18日 AFP】昨年の東京大会を含む五輪の開会式で、上半身裸の伝統衣装姿でトンガ選手団の旗手を務め、世界的な注目を集めたピタ・タウファトファ(Pita Taufatofua)さんは、母国が海底火山の噴火とそれに伴う津波に襲われて以降、安否が確認されていない父親の無事を祈り続けている。

 タウファトファさんが最初に世界の耳目を集めたのは、2016年のリオデジャネイロ五輪の開会式で選手団の旗手として登場した際だった。以後、18年平昌冬季五輪東京五輪でもトンガを代表した。

 同国の海底火山フンガトンガ・フンガハアパイ(Hunga Tonga-Hunga Ha'apai)が噴火したのは15日。現在オーストラリア・ブリスベン(Brisbane)に滞在中のタウファトファさんは、AFPの電話取材に対し、噴火の数日前に父親がトンガ最大のトンガタプ(Tongatapu)島に向かったと明かした。

 タウファトファさんは「父はハアパイ(Ha'Apai)の首長に選出されたばかりで、議会の開会に合わせてトンガタプ島に戻らなければならなかった」と話した。

 父親は、巨大な噴煙に阻まれてハアパイに帰れず、津波が到達した時にはトンガタプ島の海岸沿いにある自宅にいたとみられている。タウファトファさんは「父が無事でいることを願い、祈っている」と述べた。

 タウファトファさんはクラウドファンディングサイト「ゴー・ファンド・ミー(GoFundMe)」で寄付を呼び掛けており、すでに34万5000豪ドル(約2850万円)が集まった。「100万豪ドル(約8200万円)を目標にしている」という。主要な病院2か所や学校など、必要不可欠なインフラの修理などに資金を提供したい考え。

 この募金とは別に、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)の太平洋地区親善大使を務めるタウファトファさんは、18日には救援物資の梱包(こんぽう)を手伝った。衛生用品をはじめとするユニセフからの物資は、19日に豪海軍艦でブリスベンからトンガへ輸送される予定。

 現地住民に思いを寄せているというタウファトファさん。「降灰が続き、何もかもが厳しい状況だと思うが、われわれがここで懸命に作業を続け、窮状を知ってもらえるよう努め、心を一つにしていることを皆に伝えたい」と語り、トンガの人々は「孤立してはいない」と強調した。(c)AFP/Maddison Connaughton