【1月18日 AFP】首都の大邸宅、海鮮弁当に潜ませた多額の賄賂──。中国で、反腐敗運動をテーマにした、汚職罪に問われた高官らの実態を伝える国営テレビのシリーズ番組が人気を集めている。

 中国では近年、習近平(Xi Jinping)国家主席が進める反腐敗運動の中で、驚くべき数の共産党幹部が摘発されている。習氏が2013年に国家元首に就任して以来、同運動が政敵の排除に利用されてきたとの指摘もある。

 中国中央テレビ(CCTV)が放映するこの番組は5回シリーズで、汚職罪に問われた高官らの供述をまとめている。

 番組には、激しい抗議デモが続いていた香港で治安責任者を務め、収賄、株式市場の操作、銃火器の違法所持、買春などの罪に問われている孫力軍(Sun Lijun)元公安次官も登場した。

 番組によると、孫元公安次官は「小さな海鮮弁当」に偽装された賄賂を定期的に受け取っていた。その総額は約16億円に上り、弁当を渡していた人物は後日、江蘇(Jiangsu)省の警察トップに任命されたとされる。

 CCTVはたびたび、裁判も始まっていない容疑者の「告白」を放送し、人権団体から批判されている。中には、元高官の自白もある。

 汚職で有罪と認められれば、財産没収や党からの除名といった処分に加え、終身刑や死刑を言い渡される可能性がある。

 何億人もの番組視聴者が、ソーシャルメディアに感想を投稿している。多くは元高官らのぜいたくな暮らしに怒りの声を上げた。

 一方で、元高官らが享受した富を公開することで、公職がより魅力的に映るのではないかとの懸念も出ている。「これは腐敗した公務員の求人広告なのか」と皮肉る投稿もあった。(c)AFP