【1月15日 AFP】米ロサンゼルスで鉄道貨物の盗難が相次ぎ、毎日数十個のコンテナが被害に遭っている。配送中の荷物が目的地に届く前に奪われ、現場には中身を抜かれた箱などが散乱している。

 AFP取材班は14日、市中心部付近の現場を訪れたところ、通りから容易にたどり着くことができた。散乱するタグによると、アマゾン(Amazon)やフェデックス(FedEx)など米大手通販・運送会社の荷物が被害に遭っていた。

 窃盗団は長編成の貨物列車の停車を待ってコンテナの上に乗り、ボルトカッターを使って簡単に鍵を壊す。それから積み荷をあさり、新型コロナウイルスの検査キット、運搬や売却が困難なもの、安価すぎるものなどは捨てていく。

 米貨物鉄道大手ユニオン・パシフィック鉄道(Union Pacific)では、ロサンゼルス郡での盗難被害が2020年12月以降160%増加。昨年10月は前年同期比356%増だった。

 同郡では昨年9~12月、1日平均90個以上のコンテナが破壊された。

 盗難の爆発的な増加に伴い、乗務中のユニオン・パシフィック職員に対する暴行や武装強盗も急増している。

 ユニオン・パシフィックは対策として、ドローンや検知システムを使った防犯対策を強化するとともに、警備員を増員した。

 警察と鉄道警備員は昨年9~12月、ユニオン・パシフィックの列車に「不法侵入して破壊した」として、100人以上を拘束した。

 だが、ユニオン・パシフィック広報は「犯罪者は拘束・逮捕されても、軽犯罪として扱われ、わずかな罰金を払って24時間もしないうちに街に戻っている」「実際、犯罪者は警備員に痛くもかゆくもないと得意げに話している」と訴えた。

 ユニオン・パシフィックは昨年12月末、ロサンゼルス郡の検察当局に宛てた書簡で、こうした犯罪について2020年末に導入された寛大な政策の見直しを求めた。

 ユニオン・パシフィックは昨年の被害総額を約500万ドル(約5億7000万円)と推定しているが、各顧客の被害額や、同社の事業全体への影響、さらにロサンゼルス郡全体のサプライチェーンへの影響などは含まれていないという。(c)AFP