【1月15日 AFP】男子テニスのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が、新型コロナウイルスの規定違反で再びオーストラリアのビザ(査証)を取り消され、拘束されていることについて、かつて指導にあたった医師は14日、ジョコビッチは「超健康」であるとして豪政府の対応を批判した。

 ジョコビッチは同日、全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2022)開幕を数日後に控える中で、豪政府から再びビザを取り消され、現在は拘束されている。ジョコビッチは今年の全豪オープンで男子歴代最多の四大大会(グランドスラム)21勝目を目指している。

 ジョコビッチがウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)初制覇を果たして世界ランク1位に上り詰めた2011年までの1年間、ツアーに同行した医師のイゴール・セトジェビッチ(Igor Cetojevic)氏(60)は、AFPの取材に対して「この上なく健康な人間が市民の健康を脅かすというのは、ばかげている」と話し、ワクチン未接種の同選手が不当に扱われていると主張。

 大声で笑いながら「超健康な男が、全豪オープンを危険にさらすわけがない」と話し、「すべて政治の問題だ」と指摘した。

 本人いわく、セトジェビッチ氏は資格を持った医師で、エネルギー療法や漢方、ホリスティック医療を用いるという。

 ジョコビッチは2013年に出版した著書「ジョコビッチの生まれ変わる食事(Serve to Win)」の中で、セトジェビッチ氏の指導の下で食生活を変え、その後トップの座に上り詰めた経緯を明かしている。

 新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた場合、ジョコビッチのパフォーマンスに悪影響があるかどうか聞かれると、同氏は「間違いない」と言い切った。

 さらに「いわゆるワクチンと呼ばれているものは、実のところ臨床的に証明されていない実験的なものだ」と主張し、「彼は自分自身を尊重している。自分のことを分かっていて賢明だ。過ちだけでなく、正しい選択からも学んでいる。幸運なことに、彼は10年前に私と出会って人生が変わった」と語った。 

 世界保健機関(WHO)は、承認済みワクチンの安全性は厳格に評価され、臨床試験で長期的な免疫がもたらされることも確認されたとしている。

 セトジェビッチ氏はジョコビッチと「時折」交流しているとしながらも、最近も連絡を取ったかどうかは明らかにしなかった。(c)AFP/David Vujanovic