【1月14日 時事通信社】ロシアによる国境付近への軍部隊集結でウクライナ情勢が緊迫する中、米欧とロシアの一連の協議が13日まで行われた。緊張緩和を促す米欧に対し、ロシアは北大西洋条約機構(NATO)の東方不拡大を求めて強硬姿勢を崩さず、議論は平行線に終始。ロシア側は近日中の再協議はないと表明しており、緊張が続きそうだ。

 協議は10日のジュネーブでの米ロの「戦略的安定対話」、12日のブリュッセルでの「NATO・ロシア理事会」、13日の欧州安保協力機構(OSCE)の会合と続いた。米欧はウクライナ侵攻なら「重大な代償と結果を招く」(シャーマン米国務副長官)と警告し、ロシアに部隊撤収を要求。しかし、ロシアは「自国の領内で演習を行っており、今後も行う」(リャプコフ外務次官)と聞く耳を持たなかった。

 実際、ロシア国防省は11日、ウクライナ東部に近い4カ所の演習場で3000人規模の演習を開始したと発表。12日にはロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島などでの演習を公表し、米欧に揺さぶりをかけた。

 ロシアの外務次官らは各協議の終了後、米欧の記者も参加する形での記者会見を開き、「NATO不拡大の法的保証は絶対に必要」とロシアの主張を声高に展開した。旧ソ連構成国のウクライナとジョージア(グルジア)を「将来の加盟国」としたNATO首脳による2008年の宣言を今年6月の首脳会議で撤回するよう求めるなど、要求はエスカレート。外交交渉がまとまらない場合は「軍事技術的手段を用いてあらゆる措置を講じる」と脅しをかけた。

 ロシアのプーチン政権は、ソ連に対抗するために創設された米主導の軍事同盟NATOがソ連崩壊後も加盟国を拡大させていることに、長年不満を抱いてきた。昨年来、NATO加盟を目指す隣国ウクライナとの国境付近に10万人規模の部隊を集結させて圧力をかけ、米欧にNATO不拡大を迫っている。今回、米国を協議のテーブルに着かせることに成功し、プーチン政権にとって「ある種の勝利」(米紙ニューヨーク・タイムズ)との見方も広がる。(c)時事通信社