【1月13日 AFP】ドイツの裁判所は13日、シリアにおける国家主導の拷問を審理する世界初の裁判で、シリア人の元大佐に人道に対する罪で終身刑を言い渡した。

 アンワル・ラスラン(Anwar Raslan)被告(58)は2011~12年に、シリア首都ダマスカスのアルハティブ(Al-Khatib)収容所、通称「251支部(Branch 251)」で27人の殺害を監督したとして有罪と認められた。

 ラスラン被告は、2012年にシリアを逃れ、保護を求めてドイツに入国していた。

 独検察は、被告が同収容所で58人の殺害と4000人の拷問を監督したと主張していたが、全ての殺害への関与は証明できなかった。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)のケネス・ロス(Kenneth Roth)代表は、同日スイス・ジュネーブで開いた記者会見で「まさに歴史的だ」と今回の判決を歓迎した。

 ラスラン被告と、先に人道に対する犯罪行為への共謀罪で禁錮4年6月が言い渡されている別の被告に対する今回の裁判は、外国で発生した犯罪でも訴追が可能になる普遍的管轄権の原則に基づいて行われた。同様の裁判は、シリア人が保護を求めて入国しているドイツやフランス、スウェーデンでも提起されている。

 英国に拠点を置くシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権下の収容所では、拷問や劣悪な環境が原因で、少なくとも6万人が死亡したという。(c)AFP