【1月13日 AFP】イランの「スパイネットワーク」がフェイスブック(Facebook)を使ってイスラエル人女性を勧誘し、米大使館の写真撮影などのスパイ活動を行わせていたと、イスラエルの治安機関シンベト(Shin Bet)が12日発表した。

 シンベトによると、複数の女性を勧誘していたイランの情報員は「ランボッド・ナムダル(Rambod Namdar)」と名乗り、イラン在住のユダヤ人だと主張。フェイスブックで接触した後は、暗号化メッセージアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」で連絡を取り合うよう要求していた。

 勧誘を受けた女性の中には「男をイランの情報員ではないかと疑いつつも連絡を取り続け、依頼されたさまざまな仕事を引き受け、金銭を受け取っていた者がいた」という。主だった人物は4人で、すでに起訴されたとしている。

 このうち40歳の女は数年にわたって「ランボッド」と接触し、テルアビブの米大使館の隠し撮りや、地元ホロン(Holon)にある内務省関連施設の内部撮影など、さまざまな任務をこなしていたとされる。「ランボッド」はまた、機密文書を入手するため、この女に指示して軍入隊を控えた息子にイスラエル軍情報局に入局するよう誘導させたとみられている。

 57歳の女も、息子を軍情機関に入れたり国会(クネセト)議員と親しくなったりする任務を請け負い、4年余りで「合わせて約5000ドル(約58万円)を数回に分けて受け取った」とされる。

 イランをめぐっては現在、オーストリア・ウィーンで2015年に締結されたイラン核合意の再建に向けた協議が行われている。宿敵イランの核兵器開発に懸念を強めるイスラエルは、協議参加国ではないものの、展開を注視している。

 こうした中でのスパイネットワーク疑惑発覚を受け、ナフタリ・ベネット(Naftali Bennett)首相は、「ソーシャルメディアで消費したり共有したりする情報の裏には、イラン人がいるかもしれない」と国民に警戒を呼び掛けた。(c)AFP/Michael Blum and Guillaume Lavallee