【1月13日 AFP】ロシアの野生動物保護団体は12日、凍傷を負い、体力を消耗しきって死にかけていたアムールトラ(シベリアトラ)の子どもを保護して懸命に治療していると明らかにした。

 トラは雌で生後4~5か月。極東の沿海(Primorye)地方南部の川岸で昨年末に見つかった時、重度の凍傷を負い、けがもしていた。

 NGO「アムールトラ・センター(Amur Tiger Centre)」の説明によれば、トラは地元の漁師に発見され、野生動物保護の活動家を介してリハビリセンターに預けられた。

 外診によると、トラは体力を著しく消耗し、尻尾の先が凍傷になっていた。さらに下顎に傷を負い、壊死(えし)しかけていた。

 発見時の体重は標準の約半分の20キロだったが、手術に備えて厳しいリハビリが行われ、10キロほど増えた。壊死した尻尾の先は切断された。

 顎に健康な組織を移植する手術が先週末に行われた。2時間半に及ぶ手術は成功したが、野生に返せるかを判断するのは時期尚早だという。

 アムールトラ・センターのセルゲイ・アラミレフ(Sergey Aramilev)所長は「目下の重要な問題は、壊死を食い止め、命を救うことだ」として、最善を尽くしていると述べた。

 アムールトラはロシアと中国に生息し、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(Red List)で絶滅危惧種に分類されている。

 世界自然保護基金(WWF)のアムール支部長、ピョートル・オシポフ(Pyotr Osipov)氏によれば、ロシアには約600頭のトラが生息している。

 同氏がAFPに語ったところによれば、この冬は降雪量が多く気温の変化が激しいため、トラの生活環境は厳しいものとなっている。先日にもトラの子ども2頭が凍死しているのが見つかった。

 映像は2021年12月と2022年1月にアムールトラ・センターが撮影したもの。1月12日提供。(c)AFP