【1月13日 AFP】世界保健機関(WHO)は12日、紛争が続くエチオピア北部ティグレ(Tigray)州について、封鎖措置により人々の救命に必要な医薬品などの物資が届かず「地獄」の様相を呈していると指摘し、「人道に対する侮辱」だと批判した。

 同州出身のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は「ティグレのような地獄は世界中のどこにもない」と断言。「21世紀のこの時代に、政府が1年以上も自国民に食料や薬など生存に必要な物資を与えないというのは、あまりに恐ろしく、想像を絶することだ」と非難した。

 WHOは同国の他の地域には医薬品の供給が許されているが、同州には昨年7月以来一切届けることができていないと説明。同州で最近、連日のように無人機による空爆が行われ、死者が出ていることも指摘した。

 同国では2020年11月、アビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相を支持する勢力と「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」などの反政府勢力の間で紛争が勃発。以来、数千人が死亡し、数百万人が家を追われている。同州では数百万人に医薬品や食料が届かず、数十万人が飢饉(ききん)に近い状態にあり、国連(UN)はこれを事実上の封鎖と呼んでいる。(c)AFP/Nina LARSON