【1月12日 AFP】男子テニス世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が前人未到の四大大会(グランドスラム)21勝を懸けて来週開幕の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2022)に出場できるかどうかは、ビザ(査証)申請書類に記入した一つの答えに懸かっているかもしれない。

 申請書には、オーストラリア到着前の2週間に旅行をしたかどうかを尋ねる項目があり、ジョコビッチはこの質問に対し「いいえ」と回答した。だがソーシャルメディアへの投稿や報道によると、モナコ・モンテカルロ(Monte Carlo)在住のジョコビッチはこの期間中、母国セルビアの首都ベオグラードやスペインのマルベーリャ(Marbella)に滞在していたとみられる。

 豪裁判所が10日、政府によるジョコビッチのビザ取り消しを覆したことを受け、アレックス・ホーク(Alex Hawke)移民相は、自身の権限による強制送還もあり得るとの見解を示した。ジョコビッチが入国書類で虚偽の申告をしていたことが判明すれば、強制送還の理由になる。

 ビザ申請書には「虚偽または誤解を招くような情報を提供することは重大な違反行為である」と明記されており、発覚すればオーストラリアへの入国が3年間禁じられる可能性がある。

 ジョコビッチが「いいえ」と答えた質問は、「オーストラリアへの渡航前14日間に旅行したか、旅行する予定があるか?」というもの。

 ジョコビッチは先月25日、ベオグラードでセルビアのハンドボール選手ペータル・ジョルジッチ(Petar Djordjic)と一緒にいる場面が写真に撮影され、ジョルジッチのインスタグラム(Instagram)に投稿された。

 さらに年末年始にはスペインに渡航したという動かぬ証拠もあるようだ。今月2日、マルベーリャの別荘に滞在中に同市のクラブ「プエンテ・ロマノ(Puente Romano)」で練習しているところが地元紙ディアリオ・スル(Diario Sur)に撮影されたほか、先月31日には同市内で練習している動画がソトテニス・アカデミー(SotoTennis Academy)によってツイッター(Twitter)に投稿された。ジョコビッチはその後、今月5日にメルボルンに到着した。

 問題となっている豪入国前2週間の以前にも、ベオグラードでジョコビッチの姿が目撃されている。ジョコビッチは新型コロナウイルスの予防接種を受けていないが、全豪オープン主催者からワクチン接種義務を免除されており、先月16日に同ウイルスの陽性反応が出たことをその理由としている。

 だがその翌日、ベオグラードで自身の肖像を使用した切手の発売記念イベントに参加。その際には感染していたとみられるが、マスクを着用することなく若い参加者たちと触れ合っていた。

 弟のジョルジェ(Djordje Djokovic)さんは今月10日に開いた記者会見で、「ジョコビッチは感染した状態で、12月17日に公の場に出ていたのか?」と記者から問われると、質問には答えずに記者会見の打ち切りを宣言した。(c)AFP