【1月13日 Xinhua News】中国四川省(Sichuan)涼山(Liangshan)イ族自治州西昌市(Xichang)の西昌西駅で10日、高速鉄道列車「復興号」D843便が新規建設された成昆鉄道に沿って雲南省昆明市へと出発した。自治州内初となる高速鉄道列車の運行開始は、貧困脱却堅塁攻略の成果を固めた。

「大涼山」と呼ばれる涼山イ族自治州は、中国で最後に貧困脱却を果たした地域の一つで、これまでに多くの日本人ボランティアが訪れ、村の人々の貧困脱却支援に尽力した。中国在住の日本人ドキュメンタリー監督、竹内亮氏が2021年に制作した「走近大涼山」は中国のネット上で話題となった。大涼山を旅した体験を追ったこの作品は、同氏が成昆鉄道の鈍行列車の車内で、涼山の農家の人々と出会うところから始まり、地元の貧困脱却の物語へと続いていく。

 旧成昆鉄道は技術的な限界と地形的な立地条件の影響を受け、全長1096キロの路線は曲がりくねりスピードが出せず、雨季には度々山崩れが起き通過できなくなっていた。新成昆鉄道は、山を貫くトンネルや大スパン橋などの技術革新により、四川省成都市(Chengdu)から雲南省(Yunnan)昆明市(Kunming)までの走行距離を236キロ短縮した。設計時速は従来の80キロから160キロに引き上げられ、災害危険区域に回避または防護対策を施した。新旧路線の併用により、輸送能力が最大限に発揮されている。

 新成昆鉄道は3区間に分けて建設される。昆明市から四川省攀枝花市(Panzhihua)米易県(Miyi)までの区間と、米易から西昌市・冕寧県(Mianning)までの区間がすでに開通し、残る冕寧から峨眉(がび)までの区間は、現在急ピッチで工事が進められている。全線開通後、成蘭鉄道(成都市-甘粛省蘭州市)などに接続し、中国北西部から成都・重慶経済圏、雲南省を経て東南アジアまで直通する新たな「南方シルクロード」高速鉄道網が形成される。(c)Xinhua News/AFPBB News