【1月14日 AFP】暴力を振るわれた、土地を奪われた、お金を約束通りもらえなかった、不当に収監された──。中国当局がグリーンエネルギーの発電量を増やそうと躍起になる一方で、農家は多大な犠牲を強いられたと訴えている。

 中国政府は、来月開幕する北京冬季五輪は、動力源を100%風力と太陽エネルギーで賄う五輪史上初の大会になると明言し、電力供給量を拡大するための設備を多数建設してきた。だが、その過程で一般市民は「土地を収奪」されていると活動家は指摘する。

 首都・北京に隣接する河北(Hebei)省の黄郊(Huangjiao)村に住む龍さん一家は、農地の半分以上を広大な太陽光ファームに提供した。収入はわずかとなり、冬場はトウモロコシの皮や穂軸などを燃やして暖を取っている。

 電力会社に土地を25年間貸し出すことになり、提示された年間のリース料は1畝(ムー、約667平方メートル)当たりわずか1000元(約1万8000円)だった。

「同じ場所でトウモロコシを育てれば、倍以上稼げるのに。土地を失った今は日雇い労働で食いつないでいます」

 中国は、風力タービンと太陽光パネルの世界最大の生産国だ。北京冬季五輪は、グリーン技術で世界市場を目指す同国が成果を披露する機会になるとみられている。

 五輪会場に安定した電力を供給し、北京の冬のスモッグを解消するため、河北省には巨大な発電所が建設された。この1か所で生産されるクリーン電力は、年間140億キロワット時。スロベニアの年間エネルギー消費量に匹敵する。

 しかしグリーンエネルギーブームによって、龍さんや、同じ村に住む皮さんら農家はさんざんな目に遭わされた。

 皮さんによると、村民は中国の電力大手、国家電力投資集団(SPIC)が建設した太陽光発電パークに土地を貸す契約を無理やり結ばされた。AFPも契約書を確認した。

 同意しないと警察官に殴られたと皮さんは話した。「入院する羽目になるか、拘束される人もいます」