【1月11日 AFP】米メリーランド大学医学部(University of Maryland Medical School)の医療チームが、遺伝子操作されたブタの心臓をヒトに移植する手術に成功した。同大学が10日、発表した。ブタの心臓のヒトへの移植は世界初で、慢性的な移植用臓器不足の解消につながることが期待される。

 メリーランド大学によれば、「歴史的」な手術が行われたのは今月8日。予後観察が必要だが、動物からヒトへの移植において画期的な事例となった。

 手術を受けたデービッド・ベネット(David Bennett)さん(57)は、ヒトの臓器を用いる従来の移植には適さないと考えられていた。こうした判断は、レシピエント(臓器提供を受ける患者)の健康状態が非常に悪い場合に下されることが多い。

 現在、ベネットさんは快方に向かっており、移植された臓器の機能については経過観察が続けられている。

 ベネットさんに移植されたのは、遺伝子編集されたブタの心臓。ブタの臓器をヒトに移植した際に拒絶反応の原因となる三つの遺伝子や、ブタの心臓組織を過剰に増殖する遺伝子が不活性化されている。

「死ぬか、この移植手術を受けるかどちらかだった。私は生きたい。いちかばちかなのは分かっているが、これが私に残された最後の選択だ」。ベネットさんは手術の前日、このように語っていた。

 手術を担当したバートリー・グリフィス(Bartley Griffith)医師は、「画期的な手術で、これによって臓器不足問題の解消に一歩近づいた」と述べている。(c)AFP/Issam AHMED