■「まったく先が見えない」 畜産業者の将来

 何から何まで一気に行うには国土が小さすぎるとオランダ国民は総じて認識している。農業から大規模な生花生産、アムステルダムにある欧州最大級のスキポール空港(Schiphol Airport)、密集した道路網、みんなのための住宅まで。そして、それらと関わりながら存在する「ネーチャーゾーン」──特別な目的以外の建築が禁じられた自然地区もある。

 デローイさんは、新政権下での彼と仲間の今後について「まったく先が見えません」と述べる。常に新しい規制によって投資の追加を迫られていると言い、気候に悪影響を与えない農場にするには、100万ユーロ(約1億3000万円)近く必要だと続けた。

 農業は、オランダ政府が真っ先に狙う「格好の餌食」になっているとデローイさんは訴える。「時間と資金、明確な目標を与えてほしい」

 オランダの主要な農業組合であるオランダ農業園芸組織連合会(LTO)は、農業の持続可能性を高めるために政府が数十億ユーロ(数千億円)を支出することは正しいと言う。ただ、農業から離れる農家への補償金が、農業を続ける農家への奨励金よりも大きく計上されていることには納得できないとしている。

「農民は気候変動を目の当たりにしている。何をすべきか知っており、対応したいとも思っている」とLTOのシャーク・ファンデルタク(Sjaak van der Tak)会長はAFPに語る。「しかし、それにはコストがかかります」

「私たちはスタートラインに就いたところだが、この移行を可能にするのは社会と政治の役割だ」と指摘した。(c)AFP/Charlotte VAN OUWERKERK