【1月5日 People’s Daily】2013年に中国が提唱したシルクロード経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」は、大きな成果をもたらしている。2021年9月までに中国と「一帯一路」沿線国との貨物貿易は総額10兆4000億ドル(約1194兆7500億円)に達している。また、2013年から2020年にかけて、中国の国際貿易に占める割合は4.1ポイント増加している。

 四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)の成都国際鉄路総合保税区に進出した中国のテレビ大手TCL光電科技は最近、正式に操業を開始した。同社成都基地責任者の孫秀紅(Sun Xiuhong)氏は「関連部門の効率的な物流サービスのおかげで、自信を持ってビジネスができます」と話す。TCLのポーランド組立工場で使用する部品の90%以上は、国際貨物列車「中欧班列」によって成都から輸送されている。成都は「一帯一路」沿線国家市場への重要な輸出基地となっている。

 中欧班列はヨーロッパ・アジア大陸を貫く国際貿易の一大ルートだ。2021年10月時点で73の運行ルートがあり、欧州23か国の175都市へ合計4万6000本の車両を運行している。2021年1~10月の中国と「一帯一路」沿線国家の貿易総額は前年同期比23%増の9兆3000億元(約167兆8650万円)に上る。このうち中国からの輸出は21.9%増の5兆2700億元(約95兆1235万円)、輸入は24.5%増の4兆300億元(約72兆7415万円)とそれぞれ増えており、「一帯一路」沿線国家は中国の重要な貿易パートナーに発展している。

 浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の越境電子商取引(EC)商務総合試験区は、輸出用のEC商品をスムーズに各国へ送り出している。税関職員が一括検査した商品が最寄りの飛行場へ運ばれ、専用の国際貨物便でベルギーへ向かう。

 浙江融易通企業サービス有限公司業務部の朱沢坤(Zhu Zekun)経理は「商品はベルギーのリエージュ市にある貨物輸送拠点に運ばれ、すぐに近隣諸国へ配送されます。各国のバイヤーはプラットフォームで注文してから5日前後で商品を受け取ることができます」と説明する。

 現在、貿易の新しいモデルが加速度的に生まれている。とりわけ越境EC、市場調達貿易、海外倉庫が急速に発達し、多くの中小企業が「一帯一路」沿線国との貿易を活発化させている。

 運輸コストの大幅削減、輸送効率の向上、輸送中の商品損失率の低下により、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のケチャップやクルミなどの特産品はイタリア、ドイツ、ロシア、トルコ、カザフスタンなど「一帯一路」沿線国で販売されている。新疆西域烏敦農産品会社で働く艾力(Ai Li)さんは「税関での申告から出荷まで、30分以内に手続きが終了します。貿易が拡大し、われわれにも海外の市場にも大きな利益をもたらしています」と話す。同自治区全体では以前は電子製品、日用品がメーンだった輸出品目は機械製品、化学工業製品、食品など200種類を超えている。

 商務省の担当者は「中国はこれまでに『一帯一路』沿線13か国との間で7つの自由貿易協定(FTA)を締結している。欧州連合(EU)やシンガポールなど20か国・地域と、税関における安全確保と物流円滑化を図る『認定事業者(AEO)制度』を取り交わしている。今後も各国とウインウインの関係を実現し、共同発展の道を突き進んでいく」と話している。(c)People’s Daily/AFPBB News