【1月2日 AFP】英国のサジド・ジャビド(Sajid Javid)保健相は1日、イングランドにおける新型コロナウイルス対策の行動制限の強化を「究極の奥の手」と呼び、英国は「新型ウイルスとの共存」を模索する必要があると主張した。

 英国は新型コロナウイルスの被害が欧州でも特に深刻で、これまでに14万9000人近くが死亡した。新規感染者数は過去最多の更新が続いていたが、1日は前日よりもわずかに減って16万3000人だった。

 新型ウイルス変異株「オミクロン株」の感染が急拡大する中、北アイルランド、スコットランド、ウェールズはクリスマス以降、集会や大規模イベントを制限している。しかし、イングランドの公衆衛生政策の決定権を持つ英政府は、こうした措置を正当化するデータが不十分として、導入していない。

 ジャビド氏は大衆紙デーリー・メール(Daily Mail)への寄稿で、「国民の自由の制約は、究極の奥の手でなければならない。回避するために全力を尽くすことを国民が政府に期待するのは当然だ」と述べた。

 さらに、ロックダウン(都市封鎖)には「多大な保健的、社会的、経済的コスト」がかかるとして、「新型ウイルスと共存する絶好の機会と捉えなければならない」と訴えた。

 入院患者数や集中治療室(ICU)患者数は、感染者数ほど急増しておらず、オミクロン株の重症化リスクが従来の変異株に比べて低いことへの期待が高まっている。

 イングランドでは先月、多くの施設でのマスク着用や、ナイトクラブや大規模イベントでのワクチンパスポートの提示が義務付けられ、可能な限りの在宅勤務が推奨されたが、スコットランドなどで導入されているより厳格な行動規制には至っていない。

 代わりにワクチン接種体制を強化。昨年末までに3回目接種の対象を全成人に拡大し、対象者の約60%に追加接種を実施した。(c)AFP