【1月1日 AFP】暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(Bitcoin)は昨年、米ウォール街(Wall Street)など金融市場からの投資によって記録的な高騰を見せた。しかし、値動きは相変わらず荒いままで、専門家は今年の価格予測に苦慮している。

字幕:ビデオグラフィック「ビットコインの世界」

 ビットコインは2020年12月から2021年4月にかけて価格が3倍以上に跳ね上がり、6万ドルを突破した。その後は値動きの大きな展開が続いたが、現在は5万ドルを下回っており、幾分輝きを失っている。

 暗号資産投資ファンド「ARK36」取締役のルーカス・ラゴウディス(Loukas Lagoudis)氏は、「現在の激しい、方向性を欠いた値動きやさらなる値下げ圧力の可能性は、デジタルアセット市場に多くの不確実性をもたらしている」と指摘する。

 また一方で、2022年には「機関投資家による継続的なデジタルアセットの採用と、デジタルアセットと従来の金融システムとのさらなる統合が、暗号資産セクターの成長の主要な推進力となるだろう」と述べた。

■「確実なことは何もない」

 2021年のビットコインの高騰は、ウォール街の暗号資産への関心の高まりと重なっている。

 過去最高値を記録した昨年4月には、米ナスダック(Nasdaq)市場に暗号資産交換所コインベース(Coinbase)が上場した。

 さらに、ニューヨーク証券取引所(NYSE)にビットコイン先物ETF(上場投資信託)が上場された10月には6万6000ドルを突破。過去最高値を更新した。

 また、電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)のイーロン・マスク(Elon Musk)最高経営責任者(CEO)の暗号資産に関するツイッター(Twitter)の投稿は、たびたび価格の上げ下げを引き起こした。

 そして、9月にエルサルバドルがビットコインを法定通貨としたことも印象的な出来事だった。

 しかし、中国が暗号資産の取引と採掘(マイニング)の取り締まりに乗り出しており、欧州や米国でさらなる規制が導入されるリスクがあることも、ビットコインの重しとなっている。

 デジタルアセット取引プラットフォーム「ベクワント(Bequant)」のフォン・ホウダク(Huong Hauduc)氏は、「規制の話も含め、暗号資産には確実なことは何もない」と語った。

■競争の激化

 また一部のアナリストは、ビットコインが最大のライバルである「イーサリアム(Ethereum)」をはじめとする他の仮想通貨とのさらなる激しい競争にさらされる可能性があるとみている。

 だが、今のところビットコインの優位は続いている。

 専門サイト「コインゲッコー(CoinGecko)」によると、暗号資産セクターの市場価値は2兆3600億ドル(約270兆円)で、うちビットコインが9000億ドル(約103兆円)を占めている。

 アナリストのフランク・ダウニング(Frank Downing)氏は、イーサリアムなどと比べて「ビットコインが仕組みを進化させたがらないこと」が、実際のところ「真の国際通貨となるのに求められる安定性と一貫性をもたらす特性となっている」と話した。(c)AFP/Joseph SOTINEL