【1月1日 AFP】北京冬季五輪の会場となるゲレンデでは、鮮やかな黄色の人工降雪機が多数導入され、競技に必要な人工雪を散布している。

 人工雪は、1980年に米ニューヨーク州レークプラシッド(Lake Placid)で開催された冬季五輪以降、程度の差こそあれ使用されるようになった。だが2月に開かれる北京大会は、中国でも特に降雪量が少ない地域で行われるため、ほぼ全面的に人工雪に頼ることになる。

 大会開催まであと5週間となり、運営側は良質な雪でゲレンデを覆うという膨大で複雑な作業に追われている。だが、こうした人工雪は環境の観点から持続可能ではないとの批判も上がっている。

 会場では、気温や湿度に合わせ自動で造雪を最適化するシステムを採用。水は地元の貯水池からひかれ、「スノーガン」と呼ばれる人工降雪機約300基により圧縮空気と混ぜられ、空気中に放出されて雪となる。

 北京から約80キロ離れた延慶(Yanqing)にある国家アルペンスキーセンター(National Alpine Skiing Centre)の職員は、現地で開かれた報道機関向けのイベントで、「雪質を均一に保つことが最大の課題だ」と説明。造雪過程のばらつきにより、「ある場所では硬すぎ、ある場所では軟らかすぎて、選手にとって危険な状態になることがある」と語った。

 運営側は、造雪機は再生可能エネルギーで駆動しており、周辺の山の生態系を損なうことなく、使用した水は春の雪解けで地元の貯水池に戻ると説明している。

 だが、専門家は、人工雪に頼ることは「グリーン」な大会を目指すという北京の宣言に反すると指摘する。仏ストラスブール大学(University of Strasbourg)のカルメン・デヨング(Carmen de Jong)教授(地理学)は、水が少ない地域で大量の電力と資源を使って雪をつくることは「無責任」だと非難。「それなら月や火星でも五輪を開催できる」と皮肉った。(c)AFP/Matthew WALSH