【12月30日 AFP】中国南部・広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)靖西(Jingxi)市で28日、新型コロナウイルス感染対策の規則に違反したとされる容疑者4人が街中を見せしめに行進させられた。国営メディアが29日、伝えた。政府の強圧的な感染対策に批判が集まっている。

 中国では2010年、人権団体による長年の反対運動により、犯罪者に対し公に辱めを与えることが禁止された。しかし、国が掲げる感染者ゼロを目指す「ゼロ・コロナ」実現のため、各地で再び導入されている。

 国営広西新聞(Guangxi News)によると、防護服とマスク姿の4人は自分の顔写真と名前が印刷されたパネルを首から下げ、大勢の人が行進を見ていた。

 行進を捉えた写真から、フェースシールド、マスク、防護服を着けた警察官が容疑者1人につき2人付き添っているのが分かる。さらに武装した警察官が周りを取り囲んでおり、中には銃を構えている警察官もいた。

 同紙によると、4人は新型コロナウイルスの流行を受け国境をほぼ全面的に封鎖しているにもかかわらず、不法移民を移送した疑いをかけられている。

 靖西はベトナムとの国境沿いにある。

 地元政府は8月、公の辱めを含む新型コロナ対策違反の罰則を発表していた。

 同紙は市中の行進は市民に対する「現実的な警告」になっており、「国境関連の犯罪を抑制」するとしている。

 だが、こうした強圧的な措置には、中国共産党系のメディアやソーシャルメディアから批判の声が出ている。

 中国共産党系の大衆紙新京報(Beijing News)は29日、国外からの新型コロナの流入を阻止するよう靖西に対し「重圧」がかけられているとした上で、「こうした措置は法の支配の精神に著しく反しており、再発は許されない」と指摘した。

 靖西ではここ数か月で何回か、犯罪者が強制的に行進させられている。(c)AFP