【12月30日 AFP】ロシア最高裁が同国で最も著名な人権団体「メモリアル(Memorial)」の中核組織の解散を命じたことを受けて、各国から批判の声が上がっている。

 欧州人権裁判所(ECHR)は29日、この件について調査する間、解散命令を差し止めるようロシアに要請した。

 ロシア最高裁は28日、旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)時代の大粛清について記録し、モスクワに膨大なアーカイブを持つ同団体の中核組織「メモリアル・インターナショナル(Memorial International)」の解散を命じた。

 米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官と欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表も解散命令を批判した。ロシアと北大西洋条約機構(NATO)間ではウクライナ問題をめぐり緊張が高まっている。

 ロシアでは翌29日、検察当局の要請に基づきミハイル・カザコフ(Mikhail Kazakov)判事が、ロシアで現在行われている人権侵害を糾弾しているメモリアルの人権センターにも解散を命じた。これに対し、国連(UN)と英国は、ロシアが表現の自由を抑圧していると糾弾した。

 検察当局はメモリアルの人権センターについて、海外から資金提供を受けていることを示す「外国の代理人」のラベルを出版物に用いておらず、テロリズムや過激主義を正当化している疑いがあると非難した。

 メモリアルへの解散命令は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)政権批判の急先鋒(せんぽう)であるアレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏の収監で始まった1年を締めくくるもので、今月30年を迎えたソ連崩壊後の民主化プロセスにおける一時代の終わりを告げるものとなった。(c)AFP/Maria PANINA