【12月31日 People’s Daily】専門技術を習得した農民に資格を与えることで、人材の育成や呼び込みにつなげる。そんな取り組みが中国各地で進んでいる。

 河南省(Henan)洛陽市(Luoyang)は最近、専門技術を持つ新型職業農民や民間工芸家ら196人を「農業芸術補助師」「初級芸術師」などに認定した。証明書を受け取った農民らは「専門技術を持つプロとして認められ、地域に根差していく自信がついた」と喜びを語った。

 バイオリン製造業が盛んな河南省確山県(Queshan)は、農家とバイオリン職人という二足のわらじをはく「農業バイオリン職人」を育成し、ゼロから産業を立ち上げた。県外に向けて「農村で創業しよう」と呼びかけ、それに応じて確山県に来た約60人がバイオリン工房を造るのを支援。屋外では農作業、工房ではバイオリンの制作に励む。今では関連企業は150社を数え、2600人が従事し、年間のバイオリン製造量は40万丁に上る。さらに人材を呼び込むため、1か所の窓口ですべての手続きが済むワンストップサービス、起業を支援する訓練施設、融資や雇用のアシストなどの行政サービスを充実させている。

 農村活性化を進める中で、人材の不足、育成方法の欠如、能力を活用する場の確保、人材の定着化という問題が大きく横たわっている。それぞれの農村で「たたき上げ」的に能力を蓄積している農民でも、さらなる成長に必要な教育を受けられない限界から「天井」に直面している。そこで各地では、農業技術や経営能力を持つ人に資格を与えることで、人材の発掘や呼び込みに力を入れている。

 吉林省(Jilin)は農業経済師、農業技術師、農業芸術師など9つの資格を制定。山東省(Shandong)は2018年から新型職業農民の評価システムを試行している。こうした評価を受けた農民は補助金や技術支援、銀行からの融資などで恩恵を受けられるため、大学卒業生や退役軍人、都会に出稼ぎに出ていた人々が農村で働く潮流をつくり出し、新しい産業づくりの基盤となっている。(c)People’s Daily/AFPBB News