【12月29日 AFP】デンマークを代表する童話作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセン(Hans Christian Andersen)をテーマにした新しい博物館が完成した。7年越しのプロジェクトを経て中部の町オーデンセ(Odense)にできたのは、来館者をおとぎ話の世界へといざなう博物館「H.C. アンデルセンの家(H.C. Andersen House)」だ。

 既存の博物館は「多数の遺品や遺稿」を所蔵する「伝統的な伝記博物館」だったと、同館のマーケティングコーディネーター、ローネ・バイデマン(Lone Weidemann)氏は語る。だが来館者は求めていたのは「アンデルセンの描いたおとぎ話の世界だったのです」と続けた。

 新しく設計された博物館では、1800年代初頭にアンデルセンが子ども時代を過ごした質素な小屋を通り抜けると、そこにはアニメやインタラクティブ展示物、音楽など、アンデルセンの物語の世界があふれる地下空間が広がっている。

 新博物館を設計したのは日本人建築家の隈研吾(Kengo Kuma)氏。博物館は夏にオープンしたが、作業が完成したのは12月初めだった。

 上空から見ると、複数の円形の建物と曲がりくねった屋外の庭は、まるで木柱に支えられた4個の緑のボタンのようにも見える。

 展示空間の3分の2が地下にあるこの博物館について隈氏は、アンデルセンの作品「火打ち箱」からインスピレーションを得たと語る。中が空洞の木が、地下の世界への入り口になっている物語だ。

 博物館のデザインについて隈氏は、小さな世界からより大きな世界に広がっていくという、アンデルセンがこの物語で採用した手法に通じるものがあると語る。

 1805年に生まれ、1875年にその生涯を閉じるまで、アンデルセンが生み出した作品は童話158話、詩800編に上る。(c)AFP/Camille BAS-WOHLERT