【12月28日 AFP】インド内務省は27日、マザー・テレサ(Mother Teresa)が創設した「神の愛の宣教師会(Missionaries of Charity)」が海外から資金を受け取るために必要な登録証の更新を「拒否」したと明らかにした。ヒンズー至上主義の政権によるキリスト教徒への嫌がらせを裏付けるものだとの批判の声が上がっている。

「神の愛の宣教師会」は1950年に創設され、インド各地でシェルターを運営している。主要紙ヒンズー(Hindu)によると、2020会計年度には海外から約7億5000万ドル(約860億円)の寄付を受けた。

 内務省は25日に拒否の決定をしたとし、同会が外国貢献規制法に定める条件を満たしていなかったことが理由だと説明しているが、詳細は明らかにしていない。

 神の愛の宣教師会は、各地の施設に「問題が解決するまで」外貨預金を使わないよう指示した。銀行口座が凍結されたという報道については否定している。

 カルカッタ大司教区のドミニク・ゴメス(Dominic Gomes)司教総代理は決定について「最も貧しい人々への残酷なクリスマスプレゼントだ」と述べた。

 同会をめぐっては2週間前、ヒンズー教徒にキリスト教への改宗を強制している疑いを掛けられ、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相の出身州である西部グジャラート(Gujarat)州の警察が調査を開始していた。強制改宗の告発は、多数を占めるヒンズー教の強硬派からしばしば行われる。

 活動家は、モディ氏のヒンズー至上主義政党「インド人民党(BJP)」が2014年に政権を掌握して以来、国内の宗教的少数派に対する差別と暴力が悪化していると指摘している。

 政府は、急進的なヒンズー至上主義政策は行っておらず、すべての宗教を信仰する人に平等な権利があると主張している。(c)AFP