■障害者に求められる「ファイティングスピリット」

 車いすに乗っている劉環宇(Liu Huanyu)さん(20)は、スタジオの後方でダンスチームの練習に参加していた。他のダンサーと共に、中国のポップミュージックに合わせて車いすで華麗に回転する。

 内気な劉さんだが、ダンスで自分の殻を破ることができたと明かす。

「以前は自分のことが嫌いで、人と話すのも苦手でした」。劉さんは、10歳の時に自動車事故で片脚を失った。「最近は踊った後、外にぶらっと出掛けることもあります」

 チームには、聴覚に障害のあるダンサーたちも参加している。舞台の前方・後方からインストラクターを見つめ、一連のステップの拍子を指で数える。

「音楽を聴くことはできなくても、拍子をつかむことはできます」と陳岑(Chen Cen)さん(34)は言う。生まれつき耳が聞こえないが、6歳からダンスを続けている。

「決まったステップを踊り切るために、私たちは、耳が聞こえる人たち以上に努力しています」と手話で説明した。

 陳さんは、障害者を「迷惑な存在」と見なすよりも、障害者には困難に進んで立ち向かう「ファイティングスピリット」が求められることをもっと理解してほしいと話した。

 車いすダンサーのシャオさんにとって最も大切なことは、他者ではなく自分が自分をどう見るかだ。

「障害があるからといって絶望はしていません」と言い切る。「(多くの人とは)違う生活をしているだけ。もっとわくわくする生き方を選ぶこともできるのです」

 映像は2021年10、12月に取材したもの。(c)AFP