【12月28日 AFP】中国が建設中の宇宙ステーションと、富豪イーロン・マスク(Elon Musk)氏の米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)の衛星が2度、ニアミスを起こしていたことが27日、明らかになり、中国のネットで同氏に対する非難の声が高まっている。

【図解】中国の宇宙ステーション建設計画

 マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務める電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)にとって大きな市場となっている中国で、同氏は新たな攻撃にさらされている。

 中国が今月、国連宇宙部(UNOOSA)に提出した文書によると、スペースXの「スターリンク(Starlink)」計画の衛星が今年7月と10月、中国の宇宙ステーション「天宮(Tiangong)」と接近したため、天宮は衝突回避行動をとった。2度ともスペースXの衛星が軌道に入ってきたという。

 スターリンクは、多数の小型衛星を低軌道に展開して高速インターネットサービスを提供する計画で、これまでに多数の衛星を展開している。

 天宮は、2022年に完成予定。

 中国のソーシャルメディアでは、スペースXとテスラに対する非難の声が上がっている。あるハッシュタグの閲覧回数は、28日朝までに8700万回に上った。

 ユーザーの一人は「中国人がテスラを買ったおかげで、マスクはスターリンクを打ち上げるための大金を得たのに、中国の宇宙ステーションに(危うく)衝突するなんて皮肉だ」と投稿した。

 また別のユーザーは「テスラのボイコット(不買運動)の準備をするんだ」と呼び掛けた。外国企業が中国の国益に反する行為をしたとみなされた場合、その製品をボイコットすることが中国では一般的となっている。

 スペースXに取材を試みたが、現時点で回答は得られていない。

 中国ではテスラが人気で、マスク氏の人気も高い。しかし、今年は衝突事故やスキャンダル、データ保存などの問題を受け、その人気に陰りが出ていた。(c)AFP