【12月27日 People’s Daily】近頃、第21回中国インスタント食品大会で、インスタントラーメンのトップ企業がスープご飯、混ぜご飯などの新商品をリリースした。試食する人は途切れず、バイヤーからも注文が相次いだ。何のために分野をまたいだ経営に踏み切ったのか?同企業の責任者が語るところによれば、農産物加工業界には「熱量のムラ」があるという。乾麺やインスタント麺の市場が飽和に達する一方、インスタントのご飯やおかゆなどの米製品が売り上げを伸ばしている。新しい動きに順応すべく、企業は分野をまたいだイノベーションを進めている。

 中国国民の収入増加と消費ニーズのアップグレードに伴い、農産物を総合的に加工利用し、多元化・スピード化した市場ニーズを満たすことが模索されている。統計によれば、2020年には中国全土で農産物加工業が23兆2000億元(約417兆円)の収益をあげ、一定以上の規模を持つ農産物加工企業は7万3000社を超え、3000万人以上の雇用が創出され、1億世帯以上の小規模農家が収入を増加させた。

 加工は農業の産業システムの中で鍵を握るフェーズである。加工産業の改善は、農産物の多層的な利用を促進させ、多くの関連産業で付加価値を増大させる。例えば、ベークアウトや貯蔵などによって、果物などの農産物の収穫後損失率を引き下げ、ピークをずらして販売することでより効率的な収益が見込める。また、企業が精製や保存の技術を上げることで、トウモロコシやコメなどの農産物を多くの用途で利用できるようになり、加工によって価格も上昇する。農業廃棄物の利用においても、例えば「小麦ふすまの多糖化」や「ポマースを利用した繊維」などの技術によって、新しい付加価値の開拓が期待される。

 技術のイノベーションは、農産物加工業界のモデル転換とアップグレードにおいて重要なファクターである。例えば新疆(Xinjiang Uygur Autonomous Region)のアンズ、ナツメなどは、フリーズドライによって色や味をそのままに保存できるようになり、輸送や保存がしやすくなり、より複雑な加工が可能になった。生産プロセスを重視するのと同時に、収穫後のプロセスにおける開発研究に力を入れることが、製品の競争力を効率的に上げ、産業をアップグレードさせることが証明された。このほか、モノのインターネット(IoT)やビッグデータなどの新しい技術を十分に活用し、地域のリソース配分を最適化し、加工産業における主力地域の集積を進め、より良い製品を生産することが求められる。

 現在、消費者の志向はより多元的・個性的・多様になっており、細分化された市場が急速に形成されつつある。主食・インスタント食品・レジャー食品やカット野菜など、新しい消費ニーズに合わせた、生産と製品の最適化が必要である。また、栄養があって健康的な食事を追求する人が増えており、質や安全性、味などが求められている。(c)People’s Daily/AFPBB News