■秘訣の交換会

 チャンさんはめげなかった。インターネットを活用する一方で各地に足を運び、オランダのアムステルダムや米ニューヨークなどのアーティストから技術を教わった。世界中のネオンの愛好家やプロが集まり、コツを教え合うコミュニティーも見つけた。

「みんな、自分の試みや新たな発見をインスタグラム(Instagram)やフェイスブック(Facebook)に投稿して、進んで知識を共有しています」とチャンさんは言う。

 上の世代の職人たちからは、秘訣(ひけつ)の交換会と思われているという。

 この業界は、昔から男性が中心だった。チャンさんは現在、唯一の香港人女性だ。

 チャンさんは、香港で工房を経営しているジャイブ・ラウ(Jive Lau)さん(38)と協力してネオンをつくっている。1000度にも達するバーナーの青い炎でネオン管をあぶって曲げたり、息を吹き込んだりしながら形を整えていく。

 決して諦めない姿勢は実を結び、チャンさんはようやく師父となるウォンさん(80)と出会った。

 チャンさんは、香港でウォンさんをはじめ、何人かの職人たちにつくり方を教わろうとしたが断られた。2018年、独学で習得しようと決意。作業の工程をユーチューブ(YouTube)で見たガラス工芸家に協力を求め、技術を説明してもらった。

 チャンさんは1週間でネオンを1点完成させ、再びウォンさんの元を訪れた。

 ウォンさんは、その作品に感銘を受け、弟子として受け入れてくれた。

「香港の師匠たちは、私を本物のネオン職人としては認めてくれないと思います」とチャンさんは言う。「でも、ネオンアーティストとしては認めてくれるかもしれません。それでもいいのです」 (c)AFP/Celia CAZALE