五輪前に犠牲強いられる農家 中国で再生可能エネルギー開発ラッシュ
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■さらに3万〜4万平方キロの土地が必要に
政府は昨年9月、グリーンエネルギー開発などの環境保全事業で土地を接収された場合の賠償について厳しい規定を発表した。
環境に配慮した開発を促進している再生可能エネルギー専門家委員会の事務局長、李丹(Li Dan)氏は、同委員会でも、占有してはならない農地、特に耕作地については明確に定めていると主張した。
「これは、越えてはならない一線です」
耕作地が再生可能エネルギー事業に使用される場合、温室への電力供給など、恩恵を共有する制度が導入されるべきだという。
しかしAFPが取材した農家の証言によると、企業は農地を荒れ地と申告して規制を逃れている。
張家口で農業をしている徐万(Xu Wan)さんは、五輪開催に向けた太陽光発電設備の建設で土地を奪われたと話す。
相手側の企業には、使用できない土地だと言われたという。「でも、農業にはすごく適した土地なのです」と徐さんは言う。
「1畝当たり3000元(約5万4000円)を支払う話になっていたのに、結局何ももらえませんでした」
徐さんの村に太陽光設備を設置した張家口億源新能源開発(Zhangjiakou Yiyuan New Energy Development)はコメントの求めに応じなかった。
中国工程院(Chinese Academy of Engineering)の研究者、江億(Jiang Yi)氏は国営の業界ニュースサイトで、中国では再生可能エネルギーの需要を満たすために、さらに3万〜4万平方キロの土地が必要になるとの見通しを語っている。
「どこからそれだけの土地を集めるのか。それが、この業界の発展にブレーキをかける最大の問題になっています」 (c)AFP/Poornima WEERASEKARA