【12月26日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II、95)は25日、国民向けのクリスマスメッセージで、4月に亡くなったフィリップ殿下(Prince Philip)に触れ、最愛の夫を失った悲しみからいまだに癒えていない心情を打ち明けた。

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 女王が個人的なメッセージを伝えるのは異例。机には結婚60周年を迎えた2007年に2人で撮った写真が置かれ、女王の胸元にはハネムーンと60周年の際にも身に着けたサファイアのブローチが着けられていた。

「クリスマスは愛する人を亡くした人にとってはつらいものです。今年は特になぜなのか理解できます」と吐露。「私たち家族が彼を恋しく思うのと同じくらい、私たちにクリスマスを楽しんでほしいと思っているでしょう」と、亡き夫を代弁した。

 女王はまた、新型コロナウイルスの影響にも触れ、今年も「望んでいたようなお祝いができない」と述べた。

 女王は例年、イングランド東部サンドリンガム(Sandringham)の王室所有地で過ごすが、今年は予防措置のため、ロンドンのウィンザー城(Windsor Castle)に滞在している。クリスマスの朝に聖ジョージ礼拝堂(St George's Chapel)で行われる礼拝にも参加しない。

 女王は、チャールズ皇太子(Prince Charles)とウィリアム王子(Prince William)がフィリップ殿下の跡を継ぎ、環境問題における責任を重く受け止めていることを「言葉に表せないほど誇りに思う」とし、それぞれの妻カミラ夫人(Camilla, Duchess of Cornwall)、キャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)は「称賛に値する支援」をしていると付け加えた。

 英国の王室を離脱したヘンリー王子(Prince Harry)と妻メーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)の間に6月に生まれたリリベット・ダイアナ(Lilibet Diana)ちゃんを含め、今年4人のひ孫が生まれたことは大きな喜びだと述べた。

 だが、ヘンリー王子夫妻について言及したのはそれだけだった。夫妻は3月、米司会者オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)さんのテレビ番組で、英王室内における人種差別を批判している。

 また、未成年への性的虐待などの罪で起訴され勾留中に自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)被告との交際が明らかになり、公務から退いているアンドルー王子(Prince Andrew)についても触れなかった。(c)AFP