【12月25日 AFP】妊娠中絶を全面的に禁止している中米エルサルバドルの当局は23日、流産が加重殺人罪に当たるとして有罪判決を受け、6~13年間服役していた女性3人を減刑・釈放した。人権団体が明らかにした。

 中絶を擁護するエルサルバドルの団体「ACDATEE」によれば、3人はクリスマスに家族と再会した。

 ACDATEEのモレーナ・エレーラ(Morena Herrera)氏によると、カレンさんは6年、カティーさんは8年、エベリンさんは13年服役していた。

 保守的で敬虔(けいけん)なカトリック教徒が多いエルサルバドルでは、中絶はいかなる場合でも認められず、中絶した女性は8年以下の禁錮刑を科される。しかし、「加重殺人」で有罪となり、50年以下の禁錮刑を科されることもある。

 ACDATEEによると、他にも14人の女性がカレンさんらと同じような理由で服役しており、エレーラ氏は「今も刑務所に入れられている女性たちの釈放を求めて闘い続ける」と述べている。

 現行法に反対する人々は政府に対し、母体に危険が及ぶ場合や胎児に生存の見込みがない場合、レイプによる妊娠の場合は中絶を認めるよう求めている。

 中南米で中絶を合法化しているのは、ウルグアイ、キューバ、アルゼンチン(今年1月から)、ガイアナ、メキシコの首都メキシコ市と3州。メキシコ最高裁は9月、中絶の犯罪化を違憲と判断した。

 中南米で中絶を全面的に禁止しているのはエルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、ドミニカ共和国、ハイチ。その他の大半の国は、健康上の理由がある場合やレイプによる妊娠に限り中絶を認めている。(c)AFP