【12月24日 People’s Daily】製鉄原料エリアは北京冬季五輪組織委員会の所在地となり、精炭作業場は国家ウインタースポーツチームの訓練場となった。さらに遠いところで、スキージャンプ台が巍然(ぎぜん)とそびえ立ち、景観歩道が縦横に交錯し、往来する観光客が思わず足を止めて写真を撮るようになった。先日、北京首鋼園を訪れたところ、北京の都市の記憶に深く根ざしたこの古い鉄鋼工業園が、見事にネット人気観光スポットになっていた。

 首鋼の旧工場に限らず、日進月歩の時代の移り変わりの中で、一部の旧工場や鉱山、工業区は徐々に衰退し、活気を失い、産業遺産となっている。産業遺産とは、歴史的、技術的、社会的、建築的、あるいは科学的な価値を有する産業文化の遺跡だ。産業遺産をいかに正しく処理し、新たな命を継続させ、新たな生気を奮い立たせ、新たな価値を生み出すかは、多くの都市が模索している課題となっている。

 一部の人は産業遺産の価値を理解しておらず、それどころか都市の急速な発展の負担と見なし、それを倒し、ビルにしたり、荒廃地にしたりしていた。実際、各地に散らばっている産業遺産を訪ねると、凝縮された中国製造業の奮闘の歴史を読んでいるようだ。中国工業化のプロセスと経済構造のモデルチェンジの証人として、かつて機械が鳴り響き、にぎやかに燃えていた工場の現場は、まさに産業文化の貴重な「ルーズリーフ」であり、中国製造業の小さかった規模が大きくなり、弱者から強者に変わった歴史の記憶を体現している。

 産業遺産の内容は豊富で多元的であり、その保護・利用について一概に論じることはできず、現地の事情に応じてそれぞれ特色のある発展ルートとモデルを模索しなければならない。近年、一部の地域では全国に先駆けて新たな政策を試行し、参考になる異なるモデルを模索している。江西省(Jiangxi)景徳鎮(Jingdezhen)は元国有の陶磁器工場を改造・利用し、陶溪川文化クリエーティブ街区を構築した。約1万5000人の国内外の創業者にここでイノベーションを起こさせ、創業させた。青島ビール(Tsingtao Brewery)の百年の歴史の古い工場内に設立されたビール博物館は、青島ビールの百年の歩みとプロセスフローを濃縮・展示し、一挙に体験型観光の定番スポットとなっている。ゆえに、廃工場の建物、古い機械の生産属性を切り離した後、その文化の特色を正確に示せば、産業遺産の価値を十分に発現させることができる。

 産業遺産に新たな活力を奮い立たせるのは容易ではない、保護と開発の関係を適切に対応させなければならない。首鋼園の場合、古い高炉の元の筋目を保留するために、技師は専門的に透明なうるしを開発した。熱風炉がさびないように保護できるし、そのままの風味の歴史の痕跡を残すこともできる。国際的に見ると、イギリスのアイアンブリッジ峡谷、ドイツのルール地方などの産業遺産の成功は、設計・企画を重視することにあった。全体的な保護に基づき、創意ある展示と産業化の向上を行い、産業遺産に生気と活力を注ぎこんだ。

 世界一の製造大国として、中国は豊富な産業資源を持っている。産業のモデルチェンジ・グレードアップの歩みの加速につれ、一部の工鉱企業は閉鎖またはモデルチェンジの段階にあり、その中には価値の高い産業遺産が少なくない。保護・開発再利用を通じて、産業遺産の活況を呈させることは、都市の革新発展の必然であり、発展の新運動エネルギーが育成を求めるものでもある。(c)People’s Daily/AFPBB News