【12月23日 AFP】イスラエル考古学庁(IAA)は22日、地中海に面する古代の港湾遺跡カイサリア(Caesarea)沖合で難破船から見つかった金の指輪を公開した。指輪はローマ時代のもので、石の部分にはイエス・キリスト(Jesus Christ)を象徴する図像が刻まれている。

 輪の部分が八角形の指輪には緑の石があしらわれており、この石に羊を背負った、ダルマティカ姿の「よき羊飼い」の少年が彫られていた。

 IAAによると指輪の他に、3世紀のローマ硬貨やワシのブロンズ像、仮面をかぶる人の像、鐘、器なども見つかったという。

 指輪を調査したIAAのヘレナ・ソコロフ(Helena Sokolov)氏は、カイサリアは3世紀ローマ帝国の主要な地方都市で、その港は海上輸送の重要拠点だったと説明する。また「よき羊飼い」の図像は初期キリスト教の象徴として存在するが、指輪の石に彫られたものは珍しいと話す。

 ただし当時のカイサリアは民族的・宗教的に多様で、こうした遺物が見つかることも不自然ではないという。指輪は、カイサリアや周辺地域にいたローマ人が所有していたものと考えられる。(c)AFP