【12月23日 AFP】世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は22日、富裕国が新型コロナウイルスワクチンの追加接種(ブースター接種)を加速させることで、流行の長期化を引き起こしているワクチン格差が悪化していると警告した。

 WHOは以前から、ワクチンの供給状況には明らかな不平等があり、富裕国が大規模な追加接種計画を進める一方で、貧困国の弱者層の多くが一度も接種を受けられていない状況を生んでいると訴えてきた。

 テドロス氏は「全面的な追加接種計画は、新型コロナウイルスの流行を収束させるのではなく、長引かせる可能性が高い」とし、すでに接種率が高い国に供給を振り分けることでウイルスの拡散や変異の可能性が高まると説明。「いかなる国も、追加接種をもってしてパンデミック(世界的な大流行)から抜け出すことはできない」と述べた。

 また、クリスマス休暇を前に感染拡大を阻止するために全員が予防措置を取る必要があると強調。「追加接種は予定通り祝い事をするための切符ではない」と述べた。

 WHOによると、変異株「オミクロン株」は前例のない速さで広がっており、すでに106か国で検出されている。初期データによると、オミクロン株は従来株よりも感染力が強いだけでなく、ワクチンによる免疫を部分的に回避する可能性もあるが、追加接種により予防効果を高めることができるとみられている。(c)AFP