【12月28日 AFP】米ジョージア州アトランタ(Atlanta)でトラック4台の小規模運送会社を経営するデシ・ウェイド(Desi Wade)さん(50)は、自分でも18輪トレーラーを運転する。

 忙しい一日の終わりに夕食を取るため、トラック向けのサービスステーションに入った。駐車場の空きは一つだけ。数分後になんとか駐車できた。この業界ではよくあることだ。

 市場規模が年間12兆ドル(約1380兆円)の米トラック運送業界で、駐車場不足は数ある問題の一つにすぎない。しかし、品不足や価格高騰の陰に隠れているものの、年末年始の供給網の混乱を象徴している問題だ。

 業界大手の一部は、混乱は全国的な運転手不足が原因だと指摘する。しかし、劣悪な労働環境、不当に安い報酬、誤った管理に運転手は不満を抱いていると、ウェイドさんは主張する。

「運転手不足ではない。不足しているのはこの仕事をしたいと思わせるモチベーションだ」「賃金と仕事内容を魅力的で割に合うものにしなければならない」と語った。

 駐車場不足とガソリン価格の高騰に加え、ストレスの多い渋滞や偏った食生活に耐えなければいけない。

 最大の問題はおそらく「拘束時間」だ。港や倉庫の周辺で待機する時間を指し、賃金が発生しないことが多い。新型コロナウイルスの流行で供給網が混乱している影響で、最近は「拘束時間」が長くなっているという。

 ウェイドさんはトレーラーの運転について「家族や家から長期間離れなければならない、精神的にも肉体的にも大変な仕事だ」と話した。

 AFPの取材チームは12月、3州を移動するウェイドさんに2日間密着した。

 米国では11月、1兆2000億ドル(約138兆円)のインフラ投資法が成立した。同法には、業務用運転免許の取得年齢の引き下げや女性や元受刑者の運転手としての雇用促進、「拘束時間」に関する調査を行うことなどが盛り込まれている。