【12月22日 AFP】6600万年以上前の恐竜の胚の化石が完全な保存状態で見つかり、ふ化する直前の鳥のひなと同様の姿勢で、卵の中で恐竜の赤ちゃんが丸まっていたとする論文が21日、発表された。

 化石は、中国南部・江西(Jiangxi)省●州(Ganzhou〈●は左は章、右は夂部の下に貢〉)市で発見され、英良世界石材自然歴史博物館(Yingliang Stone Nature History Museum)が所蔵している。

 このたび化石の卵の中から見つかったのは、歯のない獣脚類の一種、オビラプトロサウルス類の胚で、研究チームは「ベビー・インリャン(英良ベビー、Baby Yingliang)」と名付けている。

 ベビー・インリャンは、頭部から尾部までの全長は約27センチ。卵の長さは17センチだ。

 学術誌「アイサイエンス(iScience)」に掲載された論文の共著者で、英バーミンガム大学(University of Birmingham)研究者のフィオン・ワイサム・マー(Fion Waisum Ma)氏はAFPに、「これまでに見つかった恐竜の胚の中でも最高レベルの保存状態だ」と語った。

 発見したマー氏の研究チームによれば、ベビー・インリャンは両側の前脚と後ろ脚を折り畳み、頭を腹部の方に丸めている。これは現代の鳥類のひなが卵の中で取るのと同じ姿勢で、これまでに恐竜で見つかった例はなかった。

 鳥類のひなは、ふ化する際にくちばしで内側から卵の殻を割る。その際、頭部を固定するために頭を右側の翼の下に差し込む習性がある。

 マー氏は今回見つかった恐竜の赤ちゃんの姿勢は、現代の鳥類が持つこうした習性が恐竜の祖先から始まり、進化してきたことを示していると説明した。(c)AFP/Issam AHMED