【12月22日 AFP】英裁判所は21日、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ(Dubai)のムハンマド・ビン・ラシド・マクトム(Mohammed bin Rashid Al-Maktoum)首長(72)に対し、元妻と子どもたちへの約5億5000万ポンド(約830億円)の支払いを命じた。英国の離婚調停での支払金額としては史上最高とされる。

 ムハンマド首長の元妻ハヤ・ビント・フセイン元妃(Princess Haya Bint Al Hussein、47)は、ヨルダンのアブドラ・イブン・フセイン国王(King Abdullah Ibu al Hussein)の妹で、現在は13歳と9歳の子ども2人と共にロンドンに居住している。UAEの副大統領と首相も兼任するムハンマド首長は、ハヤ元妃との間で長期にわたる激しい法廷闘争を繰り広げてきた。

 支払金額には子どもの養育費や成人後の警備費用が含まれ、ハヤ元妃への2億5150万ポンド(約380億円)の一括支払いに加え、銀行保証で2億9000万ポンド(約440億円)の支払いが命じられた。

 英高等法院のフィリップ・ムーア(Philip Moor)判事は、子どもたちがムハンマド首長によって連れ去られる危険性があり、安全を確保する必要があることや、「結婚期間中に子どもたちが享受していた巨万の富と高い生活水準」を考慮すれば、巨額の支払いが必要となると説明している。

 英高等法院はこれまでに、ムハンマド首長がスパイウエアを使って元妻の携帯電話から情報を傍受させていたことや、別の娘2人を強制的にドバイに連れ戻したことを認定している。(c)AFP/Anna MALPAS