【1月8日 AFP】第1次世界大戦(World War I)後の荒廃したセルビアで、ベリカ・イバノビッチ(Verica Ivanovic)さん(82)の祖父は入手できた資材を手当たり次第に使って家を建てた。当人は知らなかったが、そうした中にはローマ帝国時代のれんがも含まれていた。

 中部スタリコストラッツ(Stari Kostolac)村にある家には、今でもイバノビッチさん一家が住んでいる。この付近には、かつてローマ人の居住地で、軍事拠点でもあったビミナツィウム(Viminacium)があった。

 自宅用のれんがとして集められたものが強大な帝国の遺物であることを一家が知ったのは、ずいぶんたってからのことだ。

 ベオグラード考古学研究所(Belgrade Institute of Archaeology)の研究員、エミリヤ・ニコリッチ(Emilija Nikolic)氏によると、この家で発見されたれんがは3~4世紀ごろのものとみられている。

「ローマ時代のものだということは知っています。やはり落ち着きません。でも、誰もがやっていたことです」とイバノビッチさんはAFPに語る。

 ビミナツィウム周辺には、古代の硬貨や宝飾品など、考古学的な宝の山が今も埋もれている。

 イバノビッチさんの家のすぐそばにある、手入れのされていない裏庭には、ローマ時代の壁の遺構も残っている。

 ジャガイモ畑で農作業をしている時にカメオも見つかった。「くわでひっくり返したら、美しい女性の顔が現れました」とイバノビッチさんは言う。このカメオは現在、博物館に収蔵されているという。